建築士はみた!夫婦間の温度差
夫Aさん、反応うすっ!
お客様ともに30代前半。去年赤ちゃんが生まれたばかりのご夫婦。
契約まで漕ぎつけるのに、若干時間がかかりました。それは夫Aさんがなんとなく二の足を踏んでいたから。逆に、妻Bさんは非常にやる気のあるかたでした。
土地も見つかり、契約前の詳細打合せでご夫婦とお会いしましたが、Aさんの口数が少ない。というかほとんどしゃべらない。ご夫婦双方に均等に話しかけるのですが、Aさんの反応がうすい。なんだかとても消極的…。
いつも妻Bさんばっかりお話ししている…
そう、いつもお話しされるのはBさん。Aさんに投げかけても、Aさんが口を開く前にBさんが答えてしまうんです。なんだか、おとなしい息子くんとそのママみたいな印象。実際、Bさんの方が年上でしたが、その差も2歳だけなので実質同じような年齢なわけです。
質問の内容が、Aさんじゃないと答えられないような場合は、横でほら早くとBさんがつっつきます。
Aさんは言葉を選んで慎重にお話しされるかたではありますが、聞かれたことに対してしっかり・はっきりと回答なさるので、話すのが苦手なようにも見えませんでした。
夫Aさんに聞かなくていいの?
コーディネーターによる契約後の色決めがはじまりましたが、Bさんは理想やイメージをしっかりお持ちになっている様子で、キーワードやインスタで参考にしているインテリアなどをスタッフに見せてくれるので、打合せ自体はわりと順調にすすんでいくのですが、まあ何にせよ、Aさんに聞かない・確認をとらない。おうちですりあわせしてるのかな?
Aさんは打合せに一緒に来るものの、赤ちゃんがぐずると抱っこして立ちあがり、離席して赤ちゃんをあやしていることがほとんどで、その間、打合せはどんどんすすんでいきました。
わたしはデスクにいて業務をおこなっていましたが、Aさんの声がまったく聞こえてきませんでした。
夫Aさん、目がうつろですが?
しかし、時々Aさんが呼ばれてこたえる機会はあるにはあったようです。
どうやらそれは、Bさんが考えるのが面倒になったと思われるとき。もしくはBさんにとって興味がない部分のとき。打合せの終盤くらいから、増えてくるBさんの、
「え、わかんない。Aくん決めて。」
このセリフが炸裂するたび、Aさんの目がうつろになっていくと言うスタッフ。
そして家はどんどん妻Bさん好みの家へ
こうして、Bさんの好みが満載の女性が好むようなインテリアで決まり、わたしたちはAさんの希望ややりたいことなどをほとんど引き出せないまま打合せが終わったのでした。
もちろんBさんの好みのテイストが悪いのではありませんが、Aさんは別のテイストの要素を少しでも入れたかったのではないかと思ってしまいます。
ローンを払うのは夫Aさん
この家のローンを組むのはAさんのみであり、団信(注:団体信用生命保険)もAさん。
いわば、「命」をかけて家を建てるのはAさんなわけで、その本人の意見が取り入れてない家に住んでて幸せなんだろうかと、余計なお世話でありますがついつい考えてしまいます。
お互い納得しているならいいけど
たしかに、家を建てる時に、こまかな色や柄・仕様などは配偶者へ決定を一任する人を今まで見てきました。
そういう人たちの場合、たいていはお互いの担当を決めていることが多く、多少好みがぶつかってもその場で意見を交わしたり譲ったりしながら、お互いに納得して決定する人がほとんどでした。
一方的に決める高齢のご夫婦に立ち会ったこともありますが、押しの強い夫でも、妻にそれとなく意見を聞いていたので、今回のご夫婦Aさん・Bさんはある意味徹底しているなあと感じたのでした。
最後に
結局、この家を建てるという行為自体、Aさんは最初から乗り気ではなかったのかもしれません。気の強いBさんに押し切られる形で契約し着工したという一連の流れが、より一層Aさんに消極的な態度をとらせているのかなと思いました。
これがいわゆる、夫婦間の温度差というものなのでしょう。
それでも工事は着々とすすんでいくのでした。
自分ごとのようにハラハラしながら見てます
わたしはどちらかというと、自分の意見をはっきり言う方なので、Bさんに近いのではないかと思っています。別れた元夫はAさんのように、一歩下がって相手をたてるタイプの男性でした。
そう、わたしはバツイチ。家づくりが原因で離婚したわけではありませんが、コミュニケーション不足だったことも離婚原因の一つだったのかなぁと今では考えています。(遠い目)
どうか、Aさん・Bさんご夫婦に幸あれ。
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